関西の難関私立大学である関西大学。関西大学を志望し、受験勉強を進めている受験生も多いと思います。この記事では関西大学の物理入試について、入試概要や対策方法などの合格するために必要な情報をまとめています。関西大学の合格を目指している方は是非参考にしてみてください。
関西大学の物理について
関関同立の一角、関西大学の物理試験について記述していきます。今回は、2020年度入試における物理の試験概要を見ていきましょう。
【試験概要】
- 試験時間 理科2科目で100分
- 問題数 3題
- 出題形式 空所補充マークシート方式
- 問題構成 力学から1題+電磁気から1題+それ以外の分野から1題
【各大問で出題された問題】
大問1:力学
斜面上に設置されたばね振り子の問題です。前半は振り子の単振動の問題、後半はそのばね振り子に物体が衝突することによって単振動が始まる状況を仮定した問題です。やや計算量が多いものの、基本~標準レベルです。
大問2:電磁気
電磁誘導に関する問題です。三問構成で、一問目では磁石を動かす際の電磁誘導、二問目では円形コイルを貫く磁場が変化する場合の電磁誘導、三問目は、磁場中の導体棒が回転する場合の電磁誘導です。基本~標準レベルです。
大問3:波動・熱力学
2題構成となっている大問で、波動と熱力学から一題ずつの出題です。波動では弦の振動、熱力学では気体の分子運動論や内部エネルギーについて問われています。どちらも基本的な内容が問われています。
【合格最低得点率】
全学部日程で物理を用いる学部は、システム理工学部、環境都市工学部、化学生命工学部の三つです。どの学科ごとに最低得点率は異なりますが、全体として6~7割程度の得点率が必要となっています。
学部 | 学科 | 合格最低得点率(2019年度)[%] |
システム理工学部 | 数学科 | 65.6 |
物理・応用物理学科 | 68.4 | |
機械工学科 | 66.4 | |
電気電子情報工学科 | 72.4 | |
環境都市工学部 | 建築学科 | 71.3 |
都市システム工学科 | 64.2 | |
エネルギー・環境工学科 | 62.2 | |
化学生命工学部 | 化学・物質工学科 | 61.1 |
生命・生物工学科 | 62.2 |
各大問の詳細とその解き方
大問1:力学
斜面上に設置された、斜面と水平なばねの運動の様子を考える大問です。後半ではそのばねに物体が衝突する場合も考えられており、単振動と物体同士の衝突の両方の知識が必要となる設問です。とはいえ入試問題としては典型的な問題であり、基礎的な知識があれば問題なく取り組むことができるでしょう。問題文が丁寧な誘導形式となっており、難易度も最初は基本的な問いから、徐々に標準レベルまで難しくなっていくという形を取るので、何より誘導に従って一つずつ解いていきましょう。ただし、計算量がやや多いうえに解答群が多いので、間違っても選び間違いなどないように慎重にマークしましょう。
- 時間配分:15分
- 目標得点割合:70%
大問2:電磁気
電磁誘導について、三つの状況を想定しての状況を考える大問です。一つ目の設問では電磁誘導に関する基本的な知識が、二つ目と三つ目の設問ではコイルが磁場に対して斜めに置かれている場合や、導体棒が動く際の電磁誘導に関する計算が問われていますが、どれも基本~標準レベルとなっています。計算量もそれほど多くなく、取り組みやすい設問です。図が書いてあるため状況把握もそれほど難しくはなく、しっかり問題文を読んで丁寧に解答すれば難しい問題ではありません。計算量も多くないので、この問題は素早く処理して、なるべくほかの設問に時間を使えると良いでしょう。
- 時間配分:10~15分
- 目標得点割合:75%
大問3:波動、熱力学
波動と熱力学から一題ずつで構成された大問です。前半は波動の問題で、弦の振動に関する基本的な問題です。また後半は熱力学の問題で、教科書の掲載されている気体の分子運動論話です。非常に基本的で、計算量も少ないため、取り組みやすい設問となっています。波動については、何が変化する値で何が変化しない値なのかをしっかり意識しながら解き進めていきましょう。たとえばこの問題では、振動子の振動数が変化しませんので、そこを意識しながら解かなくてはいけません。熱力学については教科書レベルの内容ですが、しっかり問題文を読み、今何が問われているのかを意識しながら解き進めましょう。
- 時間配分:15分
- 目標得点割合:75%
大問ごとの学習・対策方法
力学
毎年必ず一問出題される分野です。比較的まんべんなく様々な範囲から出題されているものの、やや単振動の問題が多く取り扱われているようです。2020年は衝突と絡めた単振動の問題が出題されましたが、単振動の基本原理がわかっていれば問題なく解ける設問でした。単振動だけではなく他の分野においても、ただ解けるようになるのではなく、その原理を理解するように気をつけましょう。
電磁気
毎年必ず一題出題される分野です。回路の問題よりは電場や磁場を取り扱った問題が多く、特に目に見えない現象を扱うために苦手とする受験生が多くなっている分野でもあります。まずは基本的な問題を繰り返し、目に見えない中でも何が起きているのかを考える思考力を養っていきましょう。
波動
他の分野よりも特定の実験に関する出題が多く見られる分野です。教科書をじっくり読んで実験の原理を理解してから、問題を繰り返し解いて演習を積みましょう。
熱力学
他の分野に比べて出題は少ないものの、覚える公式が少なく対策しやすい分野なので、おろそかにしないようにしましょう。問題のパターンが多岐にわたる分、大学によって傾向に差が出やすい分野でもあるので、過去問を通じて関西大学の熱力学に慣れておくと良いでしょう。
▼おすすめの参考書
- 物理のエッセンス
- 良問の風
全体のまとめ
関西大学の物理は全体的に基本~標準レベルの取り組みやすい問題で構成されていますが、時間がタイトであったり、計算量の多い問題が含まれていることが多い点に注意が必要です。また、理科二科目で100分という時間配分なので、物理に偏ってもう一方の理科科目が解ききれなかった、などとならないよう、十分に時間配分についても戦略を練っていきましょう。
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