【化学】関西大学の入試概要と対策方法・解き方のコツとは?


 

関西の難関私立大学である関西大学。関西大学を志望し、受験勉強を進めている受験生も多いと思います。この記事では関西大学の化学入試について、入試概要や対策方法などの合格するために必要な情報をまとめています。関西大学の合格を目指している方は是非参考にしてみてください。

関西大学の化学について

関西大学の化学の傾向と対策について説明します。そのために、まず試験の概要をみていきましょう。関西大学の理系学部では以下の方式ががあります。これらの選択方式で配点や科目数が異なります。

  • 理科1科目選択方式
  • 理科設問選択方式(2科目型)
  • 理科設問選択方式
  • 理科設問選択方式(2科目型・理科重視)
  • 英数方式

(2020年度)

 

【試験概要】

  • 理科設問選択方式(2科目型)
  • 試験時間:理科1科目の場合:75分,理科2科目の場合:100分
  • 問題構成:大問3つ(2科目型の場合は大問4つを選択)
  • 形式:マーク式と記述式の併用
  • 配点
    • 理科1科目選択方式→150点
    • 理科設問選択方式→200点
    • 理科設問選択方式(2科目型)→200点
    • 理科設問選択方式(2科目型・理科重視)→250点

【各大問ごとに出題される問題】

  • 大問1:理論+無機 複合問題
  • 大問2:理論化学
  • 大問3:理論+有機 複合問題

【各大問ごとに主に求められている力】

年度により出題形式は異なりますが、全体的に理論化学の内容が多く、マークセンス式の問題は基礎的な知識が問われることが多いです。マークセンス式の問題は、解答群の中から正しいと思う解答を選ぶ方式ですので、用語を覚えて書く必要もないため、難易度は低いと考えてよいでしょう。

大問1
知識が問われるものや簡単な計算で求められるものが多いかわりに、問題数が多くなっています。

大問2
問題数は少ないものの、少し応用的な内容が問われています。

大問3
元素分析や構造決定の問題が多く、合成繊維やアミノ酸など高分子化合物の問題も出題されています。

元素分析などの問題は基本的ですので、それほど時間がかかることはないですが、複雑な構造決定や高分子化合物の問題は難しくなりがちで時間がかかる問題が多いです。これらのことから、選択する大問としては大問1,大問2,大問3の順がおすすめです。もちろん、得意不得意があるので、実際に解いてみて解きやすそうな問題を選ぶといいでしょう。

【大問・小問ごとの配点】

大問1つにつき50点で理科1科目型の場合は、各大問50点で150点満点。理科2科目選択方式の場合、理科2科目あわせて大問4つ分で200点満点であると予測されます。理科設問選択方式(2科目型・理科重視)の場合には、200点満点で算出された点数を250点満点に換算された点数が自分の点数になると予測されます。小問ごとの配点は非公開ですので不明であり、年度により問題数も異なりますが、基本的な知識を問われるマーク式の問題は、おおよそ2点から3点、記述式のものはそれよりも高くなるでしょう。いずれにせよ、基本的な問題一問の点数の割合が高くなっていますので、簡単な問題を間違えることが致命的になる場合があることを知っておきましょう。

【受験者平均点と目標得点率】

受験者の平均点は、公開されていないため、わかりませんが、3教科を合わせたときの合格最低点が、学部学科に応じて550点のうち310〜370点というふうに分布している(2019年度入試(2科目型・理科重視))ので、6割〜7割は合格のために最低でも取らなければならないことになります。

 

各大問の詳細とその解き方

それでは具体的に2020年度の全学部日程入試で出題された問題について説明しながら、関西大学の化学の各大問の詳細とその解き方についてみていきます。

大問1
大問1は、複数種類の空欄に、化学用語や数値、反応式などをマークおよび記述する問題です。毎年、3つのテーマごとにさらに分かれています。

穴埋め形式の問題でその都度文脈から読み解かなければいけないので、見かけ以上に読み解くのに時間がかかる問題になっています。例年、理論や無機化学が出題されますが、2020年度では、電気陰性度の概念、カルシウム関連物質、酸・塩基の定義に関する出題でした。このように分野の違う複数のテーマが出題されることがほとんどですので、自分の得意だと感じる分野を先に解くようにしましょう。計算や用語はどの問題集にも出題されるような基本的な問題ですので、問題集の内容を何度も解いて復習している人にとっては難しくないでしょう。しかし、前述の通り、時間が予想以上にかかる恐れがあるので、時間配分には気をつけなければいけません。25分で解ききることが目標にはなりますが、もしもそれ以上にかかると判断した場合には、用語の欄を埋めた後他の大問を解き、最後に計算問題を解くといった工夫が必要になるでしょう。

目標得点率としては70%〜80%です。時間配分としては、25分を目安に解きましょう。もし、大問3を選択する場合で構造決定に時間がかかるという人は余裕をもって大問1を20分以内で解き、大問3を30分かけて解くという風にしたほうが良いかもしれません。

 

大問2
大問2も数値や用語を空欄に埋めていく形式の問題になります。

例年、大問2の中にさらに2つのテーマに分かれています。こちらも大問1同様、空欄補充形式のため文章を読み解くのに時間がかかるでしょう。大問1と比べると、問題数は少ないかわりに、難易度の高い問題が含まれているため、全体としてかかる時間は多くかかるでしょう。問題数が少ないということは、一問あたりの配点が高くなるため、確実に正解ができる自信がない場合には、この大問2に時間をかけることは得策ではありません。こちらも、取れる部分を先に取り、全体の時間を見ながら解くことをおすすめします。例年、理論化学分野の問題が出題されます、2020年度の入試では、四酸化二窒素と二酸化窒素の平衡の問題と実在気体の状態方程式に関する問題でした。大問1同様に分野の違う複数のテーマが出題されることがほとんどですので、自分の得意だと感じる分野を先に解くようにしましょう。

こちらの目標得点率は70%を超えることになりそうです。時間配分としては25分ですが、計算問題を後回しにするなどする場合には他の大問を解きつつ様子を見ながら解く必要があるでしょう。

 

大問3
大問3は、有機化学の問題になります。例年、大問3も3つのテーマに分かれていることが多くなっています。基礎的な有機化合物の性質、構造決定、高分子化合物など内容は多岐に渡ります。こちらも空欄補充形式ですが、構造式を書かせる問題もあります。

問題文は長く、有機化学という問題の性質上、問題集と全く同じ解き方をする問題が少なく、その度ごとに考えなければいけないので、時間がかかりやすくなっています。2021年度の全学部日程の入試(2/7)では、例年と少し傾向が変わり、誤りを含む文はどれかという問題が出題されました。内容自体は難しくないですが、例年と傾向が変わる恐れがあること、および、正解を選ぶのではなく、誤りを選ぶという問題に引っかからないようにする必要があります。

目標得点率は、70%〜80%ですが、現実的に有機化学の問題は設問がつながっていることが多いので、一つ間違えたら、他の問題も連鎖的に間違えたり、あるいは、つじつまが合えば満点近い点数がとれたりします。ですから目標得点率はあくまで参考として、最低でも7割を死守するという思いで解答を作成しましょう。

 

大問ごとの学習・対策方法

大問1
基本的な問題集を何周もこなすようにしましょう。関西大学の化学は基本的な内容が多いですが、問題数が多いため、瞬間的に答えがでるレベルまで何度も解かなければ、本番思うように点数が取れないでしょう。計算問題に関しても、問題を見て解き方をすぐに判断できるかどうか、それから、無駄のない計算ができているかを判断しながら勉強しましょう。計算のスピードは計算の仕方の工夫で大きく変わるので、自分の計算力に不安のある人は学校の先生や塾の先生などに自分の計算がどうなのかを聞いてみてましょう。

大問2
大問2も大問1と同様の対策が有効であるでしょう。基礎的な問題を即時に解答できる力を鍛えましょう。難易度の高い計算問題に関しては、本来ならば後回しにしてもいい問題ですが、それらを解答するためには、基礎的な内容の理解をさらに深める必要があるでしょう。なぜそうなるのかなど、単純な暗記に加えて本質的な理解が必要なので、教科書の内容を自分で説明できるというのを基準で学習をしましょう。

大問3
有機化学の問題は、これまでの傾向から考えると知識の記憶とともに、応用的な理解が必要になります。難易度としては高く、時間配分にも気をつけながら解かなければいけません。構造式の理解は、自分で書いてみて覚えるということが非常に大切になります。どんな参考書の問題を解くときにも、フローチャートを自分の手で書いて理解しましょう。参考書と全く同じ問題は出にくいという傾向からして、対策しにくい分野ではあると思います。しかし、まったく異なる問題ではないので、過去問を解き、これは参考書の中のどの部分に対応する問題なのかを自分の中で分類・整理することで、未知の問題を既知の問題のように扱えるようになるでしょう。

 

全体のまとめ

関西大学の全学部日程の化学では、大問3つで構成されており、受験する学部学科によって選択する大問の数が異なります。問題の構成としてはマーク式が大半で、それに加えて短めの用語や構造式を書く問題が出題されます。現象の起こる理由などを説明させる長い記述式の問題はないので、基礎の理解が重要になります。すべての大問に共通して、基礎的な問題を即座に答えられるように練習しておきましょう。全体的に時間配分に気をつけながら、計算問題や有機化学の構造決定など時間のかかりそうな問題は後にまわすことで、解き終わらなかったというような最悪の事態を防ぎましょう。

 

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