新しく導入された大学共通テストの中でも、数学・国語・英語は特に大きな変化が期待されていました。数学の入試内容は多くの受験生が注目しているはずです。今回は、共通テスト数学IA・IIBの対策と問題傾向を説明していきます。この記事を読んで共通テスト数学IA・IIBの対策準備の参考にしてください。
目次
大学入学共通テスト 数学IA・IIBの問題の難易度と出題傾向
数学は、一部の文系受験生とほとんどの理系受験生に必要な科目です。数学は受験の合否にも大きな影響があるので、充分な対策が必要になります。ここでは、共通テスト数学IA・IIBの難易度と出題傾向に注目します。数学の苦手な受験生は、平均点超えを目標にスタートしてください。
【共通テスト数学IAの難易度】
- 2020年度センター試験の平均点 51.9点
- 2021年度共通テストの平均点 57.7点
数学IAは、色々な意味で期待外れの難易度でした。問題自体の難易度は、必須問題は易しくて選択問題は難しい印象です。難易度こそ高い問題もありましたが、新しい出題という意味での難易度の高さではありません。今後は難易度と出題傾向に大きな変化があると考えられます。
【共通テスト数学IAの出題傾向】
試行調査とは異なる内容でした。共通テストよりもセンター試験の出題傾向に近い問題が多かった印象があります。選択問題の難易度の高さと問題量の多さが注目点です。後半部分の問題が難しいだけに、時間配分で苦戦した受験生も多かったのではないかと思います。
【共通テスト数学IIBの難易度】
- 2020年度センター試験の平均点 49.0点
- 2021年度共通テストの平均点 59.9点
数学IIBはもともと平均点が低いので、今回の共通テストは難易度が下がったと考えるのが妥当です。理系学部志望の受験生であれば、高得点を狙いたい出題内容になります。基本的な水準の問題ですが、共通テストで採用されている「思考力」を試す出題もありました。冷静に解ければ良いですが、慣れない形式にとまどうとミスにつながります。
【共通テスト数学IIBの出題傾向】
数学IIBの出題傾向も数学IAと同じく、センター試験よりの出題が多くなっています。平均点を見ると難易度的にも難しくないのがわかります。「公式の証明」に関する問題は、試行調査で出題している内容の類似問題になります。今後はさらに方向性の変化が予想されますが、基本部分の対策は必要です。
共通テスト 数学IA・IIBの出題内容と配点
【数学IA】
- 第1問 数と式・図形と数量(必須)
- 配点 30点 平均点 21.2点
第1問は定番の出題内容ですが、会話文を用いているところは共通テストらしい部分になります。問題自体の難易度は易しめなので確実に得点したいところです。平均点の高さからもわかるように得点につなげる問題です。理系志望の受験生はもちろんですが、文系志望の受験生も確実に得点を重ねたい難易度になります。
- 第2問 2次間数・データの分析(必須)
- 配点 30点 平均点 19.5点
2次関数とデータ分析からの出題になります。2次関数は共通テストで出題が多くなっている考察問題で、思考力と読解力が求められる内容になっています。データの分析は、情報を正確に読み取る問題になります。センター試験系の内容ですが、数値以外の解答を選択するスタイルは特徴的です。
- 第3問 場合の数と確率(選択)
- 配点 20点 平均点 10.9点
第3問は確率を求める問題ですが、試行調査で出題された形式を意識しているので中には難しいと感じる受験生もいたのではないかと考えられます。問題のレベル的にはセンター試験の感覚で充分対応可能ですが、会話文を取り入れている部分は新しい形式という意識はうかがえます。
- 第4問 整数の性質(選択)
- 配点 20点 平均点 11.3点
第4問は1次不定方程式を利用する問題ですが、形式自体は新しいスタイルになっています。思考力を試すスタイルは、単純に計算ができるだけでは難しく感じるはずです。出題形式が目新しいので、とまどう受験生も多かったと思います。問題の難しさ以上に時間的なゆとりがなくなる危険性の高い問題です。
- 第5問 図形の性質(選択)
- 配点 20点 平均点 7.4点
第5問は図形の問題ですが、今回の数学IAの中では純粋にもっとも難易度が高い問題になっています。もちろん得意不得意はあると思いますが、平均点の低さに表れています。出題形式自体はセンター試験時代のものと大きく変わりませんが、問題内容が複雑になっているのが難易度向上の理由です。
【数学IIA】
- 第1問 三角関数・指数関数・対数関数(必須)
- 配点 30点 平均点 19.0点
三角関数の問題は教科書レベルの問題とやや難しめの問題がありました。基本的な内容ですが、センター試験と比較すると若干難しい印象です。指数関数・対数関数となっていますが、双曲線関数と言っても良い内容です。数学IIIの範囲とも言えますが、問題の形式自体は共通テストを意識した考えさせる内容になっています。
- 第2問 微分法・積分法(必須)
- 配点 30点 平均点 20.0点
微積分は2次関数と3次関数のグラフからの出題です。センター試験と難易度的には変わらない印象なので、計算は容易に感じます。第2問で苦戦をした受験生は、国語が苦手な受験生なのかもしれません。共通テストは、数学にも読解力を求める出題があるので注意が必要です。
- 第3問 確率分布と統計的な推測(選択)
- 配点 20点 平均点 12.7点
試行調査やこれまでのセンター試験で出題されている形式の問題です。教科書範囲を理解できていれば解ける問題なので、難易度は標準レベルになります。数学は共通テストになって難易度が上がると思われていただけに、充分な対策で解けた受験生も多かったと思います。
- 第4問 数列(選択)
- 配点 20点 平均点 12.8点
第4問は選択問題の中で、もっとも難易度が低めの問題になります。得点率も他の選択問題よりも高いのが、易しい問題である証拠です。易しいといっても、これまでのセンター試験の数学IIBと比較をしてという意味です。考察力を求める部分もあるので、共通テストを意識している部分もあります。
- 第5問 ベクトル(選択)
- 配点 20点 平均点 9.9点
数学IIBの中でもっとも難しい問題になっています。過去のセンター試験で出題されたベクトルの問題と比較しても、難易度が高いと考えられます。通常の数学は、小問1が解けると小問2につながります。この問題もそのはずなのですが、後半にある小問の正答率が高いのは疑問点です。
共通テスト 数学IA・IIBの対策
数学はセンター試験よりも難しくなることが予想されていましたが、センター試験と変わらない出題内容になりました。特に難関大学を志望している受験生には、易しいはずです。問題の難易度は決して高くありませんが、数学IAに関しては問題量が多かったので時間的に苦戦した受験生もいたと思います。時間配分に注意が必要です。
全体的にセンター試験同様の出題形式ですが、要所に見られる読解力や考察力を求める問題は今後の出題傾向にも影響することが予想できます。ここでは、数学IA・IIBを大問別に対策と勉強方法を説明していきます数学的な難易度と同様に国語力を鍛える必要がありそうです。
数学IA・IIB 大問別の対策と勉強方法
【数学IA】
- 第1問 数と式・図形と数量(必須)
小問1は、基本的にセンター試験と大きな変更点がない出題形式なので問題はないと思います。会話文は共通テストを意識していますが、問題のレベルは高くありません。図形の問題は、共通テストらしい新しい形式の問題になっています。本来の数学を意識した問題は、証明問題を多く解いてイメージ的に慣れる必要があります。
- 第2問 2次間数・データの分析(必須)
問題自体はさほど難しくありませんが、新しい出題方法や複数の計算をおこなう問題になっています。日常生活に関する問題は、内容を理解する必要があります。出題内容は特徴的ですが、数学的なレベルは決して高くありません。冷静に文章を把握できる読解力と正確に計算ができる能力を身につける必要があります。
- 第3問 場合の数と確率(選択)
数学という見方をすれば、センター試験よりも難易度は高くありません。共通テスト全体で見られる会話文に対する、読解力の有無が明暗をわけることになるはずです。他の科目でもいえますが、文章を読み取る力が重要になっています。特に理系志望の受験生の中には、国語が苦手という人も多いので注意が必要です。
- 第4問 整数の性質(選択)
問題自体は面白みのある良問ですが、数学的に見るとセンター試験に近い内容です。文章や問題を解いていく中で、読み取る力と考察力が試されています。今回出題された選択問題の中で、もっとも平均点が高くなっています。考察力や読解力は、模試や共通テスト向けの問題集を有効に使用するのがオススメです。
- 第5問 図形の性質(選択)
選択問題の中で、もっとも難易度が高い問題になっています。問題文とおりに図を書いてもイメージがつかみにくいと感じた受験生も多かったと思います。共通テストの特徴でもある多くの情報や資料から正確に答えを導きだす力が重要になります。時間配分と冷静な判断は、慣れや経験も必要です。
数学IAの勉強方法
2021年の共通テストは、おそらく今後の出題傾向にも大きく影響するはずです。問題難易度や問題量は、調整する可能性も考えられます。
模試や問題集を利用したこれまで同様の対策で問題ありませんが、証明問題は公式の意味や内容を理解することが重要になります。
【数学IIA】
- 第1問 三角関数・指数関数・対数関数(必須)
三角関数の問題は、センター試験よりも問題量が多いので、結果的に時間配分が難しくなった原因になります。特に2問目は久々に出題されたのが印象的でした。指数関数・対数関数では会話文や数学IIIの知識といった問題が、新しくなっています。基本的な計算能力の向上を中心に読解力を向上する必要があります。
- 第2問 微分法・積分法(必須)
試行調査で出題されたグラフに関する問題でした。今後の出題にも大きな影響がある問題なので、振り返り学習が重要になります。グラフ問題は単純に問題を解くだけでなく、実際にグラフや図形を書くことが重要になります。繰り返し練習をすることで、イメージがつかみやすくなるはずです。
- 第3問 確率分布と統計的な推測(選択)
問3の前半は、教科書水準の問題なので苦戦をする受験生は少ないはずです。基礎力重視の対策で充分対応可能になります。後半部分の問題は、考察力を求める内容ですが決して難易度は高くありません。考察力を求める問題は、模試や共通テスト対応の問題集を利用することをオススメします。
- 第4問 数列(選択)
数列の問題ですが、センター試験と比較すると易しい問題です。今後共通テストで求められる内容が加わる可能性はありますが、基本はこれまでの対策になります。基礎学力の定着とセンター試験の過去問題をできるだけ長い年数解くのは必須です。その他には、模試などを見ながら問題の変化に対応できるようにする必要があります。
- 第5問 ベクトル(選択)
空間ベクトルでは頻出度の高い問題なので、多くの問題に取り組んでいる受験生であれば類題を見たことがあると思います。後半に向かうにつれて難しくなっているのが特徴です。一部の問題に正解率が出題者側の意図とは異なる結果がでています。今後は出題内容や文章に変化があると予想されます。
数学IIBの勉強方法
全体的に新しい出題傾向を取り入れた問題がありますが、難易度はセンター試験よりも下がっています。今後は、数学の知識だけでは解けない問題が増える可能性があります。
基礎学力の定着はもちろんですが、模試や過去問題を利用して計算能力を向上させる必要があります。その上で、新しい出題形式に慣れておけば対策は充分可能です。
数学IA・IIBの時間配分
数学IAはこれまでの試験と比較すると前半部分の問題量が多くなったので、時間配分に気をつける必要があります。後半の選択問題で時間が足りなくなるのは、避けるべきです。後半の選択問題も基本的に難易度が高くなることが予想されるので、全体的な時間配分は模試や過去問題を利用して慣れておくことをオススメします。
数学IIBは出題範囲には変化がなかったので、これまでと同じ感覚で解けたと思います。今後は、問題量の増加や難易度が高くなる可能性があるので、時間配分にも注意が必要です。
数学IA・IIBのオススメの解く順番は?
数学IA・IIB共に大問1の結果で大きな違いが出ます。計算や文章読解に苦戦すると後半の選択問題の時間が足りなくなります。選択問題ははじめから2問を決めつけるよりも、3問の中から2問を選択することをオススメします。実際に今回はもっとも簡単だと思われる問題を選択した受験生が少なかったようです。
問題を解く順番は、基本的に前半部分は順番とおりに解くのが理想です。選択問題に関しては、解けると感じた問題を先に解くのが理想になります。
共通テスト 数学IA・IIBの目標点数
難関大学の合格を考える場合は、どの科目も80%以上を目安にする必要があります。難関国公立や難関私大は85%~90%以上がボーダーになることも少なくありません。
私立大学の「上智大」「東京理科大」「明治大」「青山学院大」「立教大」「法政大」「中央大」「関西学院大」「関西大」「同志社大」「立命館大」を目指すのであれば、80%~85%を目標にする必要があります。
国立の「東京大」「京都大」「北海道大」「東北大」「名古屋大」「大阪大」「九州大」や私立の「早稲田大」「慶應大」を目指すのであれば、90%以上が必要です。
- 数学IAが得意な受験生 90点以上
- 数学IAが苦手な受験生 80点以上
- 数学IIBが得意な受験生 90点以上
- 数学IIBが苦手な受験生 80点以上
大学入学共通テスト数学IA・IIBで9割を目指す!オススメの問題集と参考書!
数学IA・IIBは共通テストと二次試験や私立大一般入試とは、解き方や問題へのアプローチ方法が異なることもあります。もちろん基本的な知識は必要です。ここでは、数学IA・IIBでオススメする問題集と参考書を紹介します。定番のものが多いですが、使い方次第で大きく結果が異なります。
【チャート式シリーズ】
数研出版から発売されている大学入試の定番シリーズです。目的や難易度によって色別にわかれていますが、適性の難易度選びが重要になります。
- 緑チャート
共通テスト対策用のチャート式です。センター試験のときと同様に共通テストにはそれなりの解法が存在しますので、対策という意味でもオススメできます。
- 白チャート
文系または数学が苦手な受験生にオススメです。もっとも低いレベルの参考書ですが、完全にマスターできれば楽に偏差値50以上は可能な内容になります。
- 黄チャート
高校の数学で使用しているケースもあるようですが、白チャートをマスターしてからが理想になります。標準といっても受験レベルの標準なので注意が必要です。
- 青チャート
偏差値60以上向けですが、模試で偏差値が60未満の受験生は白チャートまたは黄チャートをマスターしてください。あくまでも難関大学向けになります。
- 赤チャート
理系最難関大学向けのシリーズです。他のシリーズ同様に自身の偏差値や理解度に応じて使用することをオススメします。
【総合的研究】
数学以外の科目でも発売されているシリーズですが、良問が多く数学は特にオススメです。問題の難易度がわかるようになっているので、自分の学力に合わせて使用できます。
▼アクシブアカデミーについて
他科目の対策
- 共通テスト英語 対策
- 共通テスト国語 対策
- 共通テスト日本史 対策
- 共通テスト世界史 対策
- 共通テスト政治・経済 対策
- 共通テスト現代社会 対策
- 共通テスト地理 対策
- 共通テスト倫理 対策
- 共通テスト数学 対策
- 共通テスト化学 対策
- 共通テスト物理 対策
- 共通テスト生物 対策
国公立大学おすすめのコース
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